#英語

長寿パン

ようやく暑さも和らぎ
秋らしい気候になりました。


読書の秋,スポーツの秋,そして食欲の秋。
皆様はどんな秋をお過ごしでしょうか。


今回は食欲の秋にちなんだ話題です。

先日お腹が空いたので,コンビニに寄ったところ




ロングライフパン




と書かれたパンを発見しました。





Long life パン?





見つけた時は,一瞬
「素材にこだわった美味しいパンなので長生きできます」
ということかと思いました。


それは早速食べなくては! と手が伸びましたが,
まずはちゃんと意味を調べてみることに。

すると
どうやら,寿命が延びる魔法のパンではないようです。



Long lifeには「長寿」の意味のほかに
「(食材が)日持ちする」という意味もあります。

つまり,このパンは
「時間が経っても食べられます」ということですね。



長寿パンは幻に終わりました。




ちなみに,long lifeの語順を逆にした
lifelongという単語もあります。

こちらは「一生の」という意味ですが,
例えばこんな言葉があります。




lifelong calling




calling? 電話?

一生電話がかかってくるなんて怖い話ですが,
やはりこちらも違います。



callingには「呼ぶ」「電話をかける」以外に
キリスト教で「(神の)お召し」という意味があります。
神様に呼ばれるということです。


つまり、lifelong calling
lifelongの「一生の」と
callingの「(神に)呼ばれる」で
天職を意味します。



神様に「あなたはこれをしなさい」と言われたものが
その人にとっての天職ということなのでしょう。

編集者のロングライフパン

〈英語担当T〉


#英語 #食べ物の英語 #長寿パン #天職

Hope (  ) Eternal, Summer of Corruption, (  ) from Innocence, A Winter’s Tale

これらはスティーブンキングの小説作品の副題です。
主題とあわせると

Rita Hayworth and Shawshank Redemption-Hope Springs Eternal
Apt Pupil-Summer of Corruption
The BodyFall from Innocence
The Breathing Method-A Winter’s Tale

というタイトルで,
この4作品が1冊のペーパーバック本に収められており、
副題には四季を表すspring,summer,fall,winterが使われています。

1つめの作品は『ショーシャンクの空に』として,
3つめは『スタンド・バイ・ミー』として映画化さています。

私は『ショーシャンクの空に』が好きで,
学生時代にこの原作(英語版)を辞書を片手に読みました。

この原作の副題は
Hope Springs Eternal(希望は永遠に湧き出る)。

springには「春」という意味のほかに「湧き出る」という意味があります。

『ショーシャンクの空に』では,
過酷な状況でも「希望」を持ち続けようとする主人公が描かれていますが,
この副題は,希望がspring「湧き出る」のと「春」をかけているのですね。

3つめ『スタンド・バイ・ミー』の副題は
Fall from Innocence(純心から落ちる)。

fallには「秋」という意味のほかに「落ちる」という意味がありますね。

大人になるにつれ,いつしか童心を忘れてしまうことを,
fallを用いて表しているのでしょうか。

原作の小説は映画とはまた違った味わいがあります。
日本語訳版も出ていますので,
まだ読まれていない方はぜひ手に取ってみてください。
<英語担当S>

#英語 #小説

夏と言えば怪談 ―雪女(後編)―

前回の続きです。

外で倒れていた女を助けた男は
その女と結婚し,一緒に幸せな冬を過ごします。

しかし,季節が移り変わり始めると,
妻の様子に異変が現れます。
(原文は少し長いので,短く書き直しています。
 和訳:カルチャー・プロ英語担当T)


***
As spring comes and the weather got warmer,
the young wife became weaker and thinner.
春が近づき暖かくなると
若い妻は次第に弱ってやせ細っていきました。

The young man thought that she was lonely
so he decided to throw a spring party for her.
夫は妻が寂しい思いをしていると思い
妻のために宴を開くことにしました。

For the party, he invited many of his friends.
夫は宴に彼の友人を大勢招待しました。
***

そして,宴の途中で
男は自分の妻の姿が見えないことに気がつきます。
名前を呼んでも返事がありません。

ある部屋で,男は妻が着ていた着物を見つけます。
(ここのみ原文通りに書いています)





***
There was only her kimono,
lying in a pool of water in front of the stove.
***





ちょっと待って。
ストーブ?
もう一度確認しましょう。



***
There was only her kimono,
lying in a pool of water in front of the stove.
妻の着物はありました,火鉢の前の水たまりの中に。
***




なんと,雪女,暖をとって溶けてしまいました。


最初から最後まで覇気のない雪女ですね。
それにしても,彼女の目的は一体…
(もはや怪談ではなくミステリー?)




今回ご紹介した,怖さ要素ゼロのThe Snow Wifeは
海外の本屋さんで見つけた
世界の童話を集めた本に書かれていました。

この本には,日本の昔話として
「一寸法師」と「浦島太郎」も入っています。
こちらも想像とは違った展開が面白いので
いつか機会があったらご紹介したいと思います。



雪女では残念ながら涼はとれませんでしたが,
この童話集はちょっと不思議な本として
これからも大切にしていこうと思います。
〈英語担当T〉


Retold by Neil Philip. Illustrated by Nilesh Mistry. The Illustrated Book of Fairy Tales. Great Britain, Dorling Kindersley, 1997.

#英語 #児童書の英語 #昔話 #英語を楽しむ #英語で読む怪談 #怪談で涼しくなる #怖くない怪談 #実はミステリー

夏と言えば怪談 ―雪女(前編)―

最近では気温が35度を超える日も珍しくなくなりました。
地域によっては40度になっているところもあるようです。
皆様,熱中症対策はくれぐれも念入りになさってください。

さて,こんな暑い日には怪談で涼しくなりましょう!
そしてせっかくなので,日本の怪談を英語で読んでみませんか?

怪談を英語で読むことには大きなメリットがあります。

怪談が苦手な人にとっては分からない単語は
飛ばして読めばそれほど怖くなく,
怪談が大好きな人にとっては,英単語を調べれば怖さは倍増,
英語の勉強にもなり一石二鳥です。

今回選んだ怪談はThe Snow Wife(雪女)。
DKbooksから出ている,子ども向けの
世界のおとぎ話を集めた本に入っている話を抜粋して,
少しご紹介いたします。
(和訳:カルチャー・プロ英語担当T)


***

Long ago, there was a young man.
One winter night, someone knocked at his door.
When he opened the door, he found a young woman lying outside.
昔々,若い男がいました。
ある冬の夜,誰かが扉をたたきました。
扉を開けると若い女が外で倒れていました。

***


ん?

雪女って吹雪の夜に出かけた父親とその息子の話ではなかったでしたっけ?
そして,雪女に息を吹きかけられた父親は死んでしまうのですよね?
英語では特に描写はないですが,
もう父親が亡くなったところから話が始まっているのでしょうか。
それにしても,Snow Wifeは登場から少し元気が無いようです。

もう少し読み進めてみます。


***

The man asked the woman to marry him because she was very beautiful.
During the winter, they lived happily together.
男は女がとても美しかったので結婚を申し込みました。
その冬,二人は幸せに暮らしました。

***


雪女と知らずに夫婦となるのは変わらないようです。

長くなってしまったので,後編に続きます。
〈英語担当T〉

Retold by Neil Philip. Illustrated by Nilesh Mistry. The Illustrated Book of Fairy Tales. Great Britain, Dorling Kindersley, 1997.

#英語 #児童書の英語 #昔話 #英語を楽しむ #英語で読む怪談 #怪談で涼しくなる

本の居場所

いつの日か 君のノートもここに並ぶのだ
One day, these notebooks will find their place here.

これは,映画「奇跡がくれた数式」でイギリス人のハーディ教授が
インド人学生のラマヌジャンにかけた言葉です。

ラマヌジャンは直感的に数学の公式をひらめく天才ですが,
学歴が無いことやインド人であることを理由に,
イギリスで差別に苦しみます。

ハーディ教授は彼の才能を認めていますが,
自分の発見が誰にも相手にされないことに
ラマヌジャンは焦りや苛立ちを募らせていきます。

それに気が付いたハーディ教授は,
彼を大学の図書館に連れていきます。

そこでは,ニュートンなど著名な数学者のノートなどが展示されており,
それらを見ながら上のセリフでラマヌジャンに辛抱するように伝えます。

いつの日か 君のノートもここに並ぶのだ
このセリフはとても英語らしい表現に感じられます。

この日本語訳をあえて英語にしてみてください。
様々な表現の仕方があるかと思います。
One day, these notebooks will be placed here.
One day, many people will see these notebooks here.
と言っても間違いではないです。

しかし,あえて能動態を使うことで,
あたかも本が自分自身で
自分の居場所を獲得していくようなニュアンスが加わり,
それが様々な困難の中でもがくラマヌジャンの姿と重なって
味わい深いセリフになっているように感じます。

ラマヌジャンのノートのように
私たちが制作に関わった本や制作物が
それぞれの場所で誰かの助けになっていてほしいと思います。
〈英語担当T〉

#英語 #数学 #映画の英語 #奇跡がくれた数式 #タクシー数 #分割数 #英文法 #能動態