司馬遼太郎『竜馬がゆく』での高杉晋作の最期の描写をご紹介します。
結核の病状がいよいよ重くなった高杉が、辞世の句をよもうと筆をとります。
「面白き、こともなき世を、おもしろく」
(文春文庫『竜馬がゆく』表記ママ)
辞世の上の句をよんだ。下の句に苦吟していると、看病していた野村望東尼が、
「住みなすものは心なりけり」
と詠んだ。高杉はうなずき、
・・・面白いのう。
と言って静かに眠った。それが高杉の最期であった。
天才革命家として破天荒な活躍をした高杉ですが、
27歳という若さで病没しました。
野村望東尼とは、高杉らの討幕運動を支援した幕末の女流歌人です。
私は詩歌の心得などはまったくありませんが、
高杉らしい「やんちゃ」な上の句に対して、
望東尼が優しく、かつ風雅に下の句を呼応させるという描写が印象的でした。
国語担当にも聞いてみました。
(彩る)ものは心なりけり でしょうか。
心持ち次第で極彩色の毎日が送れ…たらいいな、と思っております、はい。
「色取る」とも書けますが、個人的には「彩る」のほうが
字面が可愛くて好きです。
ちなみに「彩」は中学学習漢字ですが、
――国語科担当Kさん
「いろど-る」は中学では学習しない読み方です。
無理やり国語担当ぽい豆知識を入れ込んでみました。
編集者としては、
「面白き」「おもしろく」、
「上の句をよんだ」「と詠んだ」などの
閉じ開き表記の不統一も気になるところです。
一読者としてはこれも味に思えます。
皆さんはどのような下の句を思いつかれたでしょうか? ご意見いただけますと幸いです。
〈英語担当S〉