編集者のひとりごと

カルチャー・プロの社員が日々気が付いたこと,興味を持ったこと,発見したことなどを自由に綴っていきます。

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デジタルで作るアナログの音 vol.2

前回の編集者のひとりごとで、身の回りのノイズやアナログな音について取り上げました。今回は当社の音楽担当者に前回のテーマについて、もっと詳しく聞いてみました。

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 デジタルでつくる音をアナログの音に似せる。こう聞くと、あたかもアナログの音こそが「ホンモノ」で、デジタルでつくられた音は「ニセモノ」に過ぎないと思われるかもしれません。ある側面からすれば、それは真実でしょう。私のドラえもんのモノマネがどれだけ上手かろうと、私自身がドラえもんや声優の水田わさびさんに、文字通り「なれる」わけではありません。私から発せられる声は、あくまで「限りなくドラえもんの声に近い、私の声」でしかない。そういった意味では、アナログな音と、それに似せたデジタルの音は、異なる地位にあります。

 では仮に、「耳では誰にも聴き分けられないほどアナログの音に近い、デジタルの音」があるとして、その音は、もとになったアナログの音と比べて価値の損なわれたものなのでしょうか。オーケストラの美しい響きが、心地よい川のせせらぎが、デジタルに生み出されたものであるとわかった途端、その美しさや心地よさを失うのでしょうか。もっと言えば、その音に美しさや心地よさを感じ取った私たちの体験までもが、「ニセモノ」だったということになるのでしょうか。

 17世紀イギリスの哲学者ジョン・ロックは、物の性質を、物それ自身が私たちの知覚から独立して有している「第一性質primary qualities」と、音や味、匂いのように、私たちの知覚との関係によって規定される「第二性質secondary qualities」とに区別しました。音の源は物質の振動です。そして、その振動が空気などを介して私たちの耳に届くことで、はじめてその物質は「音」という性質の規定を得ます。目の前のベルから発せられた振動を私たちの聴覚が拾うからこそ、そのベルはそれ自身の音という性質をもっているのです(もちろん、これに対する反論もあることでしょう。そのために、「誰もいない森で木が倒れたときに音はするのか」ということが問題になりえます)。

 ということは、オーケストラの響きの「美しさ」や、川のせせらぎの「心地よさ」も、私たちの知覚に依存したものであるのではないでしょうか。上の議論に従えば、知覚されていない事物が、音の美しさや心地よさだけをもっていることは考えられないからです

 話が少々脱線しているように見えるかもしれません。つまり何が言いたいのかというと、ある音を聴いて私たちが感じた「美しさ」や「心地よさ」、あるいは「やかましさ」や「醜さ」といった美的価値は、アナログかデジタルかということに、本質的には左右されるものではないということです。「このヴァイオリンの音を私はたしかに美しいと思ったけれど、実は私はそれを美しいと思ったのではないのかもしれない」ということがありえないのと同じように、「このヴァイオリンの音を私はたしかに美しいと思ったけれど、この音がデジタルでつくられた音なのであれば、本当は美しくなかったのかもしれない」ということもまたありえません。デジタルでつくられた「ニセモノ」の音であろうと、それのもつ価値はたしかに「本物」なのです。

 鳥の鳴き声を一般的に音楽と呼ばないのであれば、音楽は人間の独特な営みです。生の楽器演奏による音楽も、人間のつくりだした楽器によって生み出されるある種の人工的なものという点では、デジタルの音と同じです。そして今日、そうした技術を駆使して、新たな創造の試みがなされている。私もどちらかといえば生の楽器演奏のほうが好きですが、アナログかデジタルか、それは単なる手法の違い以上のものではなく、そこから生み出されるものに、そもそも本質的な違いはないのかもしれませんね。

ー音楽科担当Kさん
・・・・・

 デジタルは私たちの生活の中で必要不可欠になっています。

 今回は「音」の分野で掘り下げて考えてみましたが、デジタルについて様々な角度から考えてみると「本物/ニセモノ」「よい/悪い」「使える/使えない」といった二元論的な議論では語れない、新たな発見があるかもしれません。
〈英語担当T〉

#音楽 #デジタル #アナログ #デジタルな音 #哲学 #ジョンロック #体験

デジタルで作るアナログの音 vol.1

みなさんは集中したいとき、図書館など静かな場所を選びますか?
それとも、カフェなど何かしら音がある環境ですか?

エアコンの音、誰かの足音、遠くで電車が走る音、なんの音なのか、どこから来ているのか、分からないような音。
そういった様々な音の中で、私たちは日々過ごしています。

普段意識をしないので、聞こえなくなって初めてその存在に気付く音もあるかもしれません。
先日、関東でも大雪になりましたが、雪が降ると「静かだなあ」と思いませんか?
これは、雪が様々な音を吸収してしまうので、私たちは普段より静かだと感じるのです。

そういった私たちを取り巻くアナログな音やノイズが、今デジタルの世界であえて作られている、ということをご存知でしょうか。

録音ソフトは、今急速に進化しています。
録音した音を切り貼りしたり、音程を調整したりするのはもちろん、一度聞いただけではデジタルとは気が付かないくらい精巧な楽器の音も出せるようになってきました。

さらに、よりアナログな音に近づけるために様々な工夫もされています。

例えば、デジタルでアナログのような音を出す方法の一つとして、ひとつひとつの音をちょっとずらして和音にする、という方法があるそうです。

個人でもオーケストラでも、
人が和音を出す際には全ての音を0.1秒の狂いもなく同時に出すことは不可能です。
しかし、そのズレが演奏者の個性となり、音の力強さや柔らかさ、表現につながります。

一方で、デジタルではそのズレが生じない、ある意味「正確な」和音を出すことができますが、その「正確さ」ゆえに音の個性が消えてしまうのです。

そこで、アナログの音に近づけるために、デジタルでもわざと音をずらすという方法がとられます。

さらに、より自然なアナログな雰囲気を出すためにあえてかすかなノイズを加えることもあるようで、
ソフトによっては、ピアニストが椅子を引くような音を入れることもできるとかできないとか・・・。

デジタルな音、アナログな音、その境界線は今後曖昧になっていきそうな気がしています。

色々と気になってきたので、
次回、音楽担当に詳しく話を聞いてみようと思います。

〈英語担当T〉

#音楽 #デジタル #アナログ #デジタルな音 #環境の音 #次回に続く

歌えない音

イルミネーションがきらびやかになり
クリスマスソングが街中で流れる季節になりました。


クリスマスソングと言えば,誰のどの歌を思いつきますか?

マライア・キャリー?
アリアナ・グランデ?
山下達郎?

王道のフランク・シナトラやナット・キング・コールの歌う
クリスマスソングも素敵ですね。


ついつい,口ずさんでしまうクリスマスソングですが
先日,気持ちよくある曲を口ずさんでいたら
「なんか上手くいかないなあ」と思う瞬間がありました。


ある部分の音が分からなくなり歌が続かないのです。


特別高かったり,低かったりというわけでもなく,
元の曲を聴きながらだと歌えるのに
自分ひとりで歌おうとすると音が出てこない。


ピアノで音を探してみると,「それらしい」音は見つかります。

ただ,なんだか違う。



もちろん,歌手は音を外しているわけではありません。



ではこの音は?



あまりに気になったので,少し調べてみると
私がとれなかった音はどうも微分音らしい
という結論に至りました。



微分音とは?

普段,私たちに馴染みがあるのは,
十二平均律という,1オクターブを12等分した音です。


ピアノの鍵盤で分かれている音ですね。


ただ,これは1オクターブの音を便宜上12等分しているだけなので,
たとえばピアノの鍵盤にはない
「シとドの間の音」というものも存在するわけです。


つまり,「シとドの間の音」のような
平均律をもっと細かく分けた音が微分音とよばれる音です。


おそらく,私が音を再現できなかった理由は
平均律の音に慣れすぎていて
平均律では再現できない音(微分音)を
聞き取れず,再現できなかったから
ということのようです。



微分音は,平均律に吸収されてしまっているので
微分音に近い平均律の音で歌うこともできますが,
やはり微分音にすることで,微妙なニュアンスが加わって
その歌がぐっと良くなるような気がします。



音楽科担当にも聞いてみました。

   
   時代はさかのぼりますが,音楽CDが出始めたころ,
   ある人に「CDを聴いてみたが今までとなんだか違う,
   どちらかというと前の(アナログ)の方が良かった。
   自分がおかしいのかな」ときかれました。

   「くわしいことは専門家でないので説明ができませんが,
   アナログ音源をデジタル処理する際に容量の関係などで
   カットされる音があるみたいですよ。
   連続したもの(アナログ)と段階的なもの(デジタル)の
   違いみたいです」と答えたところ,納得してくれました。

   色と色との間には無限の色があるように,
   音と音との間にも無限の音がありますよね。

―音楽科担当Tさん



無限の音の中に,
デジタルでは再現できない美しさや心地よさがあるのかもしれません。

今年の冬はちょっと音を気にして過ごしてみようと思います。

歌えない音のイラスト

〈英語担当T〉         

#音楽 #クリスマス #クリスマスソング #微分音 #無限の音

長寿パン

ようやく暑さも和らぎ
秋らしい気候になりました。


読書の秋,スポーツの秋,そして食欲の秋。
皆様はどんな秋をお過ごしでしょうか。


今回は食欲の秋にちなんだ話題です。

先日お腹が空いたので,コンビニに寄ったところ




ロングライフパン




と書かれたパンを発見しました。





Long life パン?





見つけた時は,一瞬
「素材にこだわった美味しいパンなので長生きできます」
ということかと思いました。


それは早速食べなくては! と手が伸びましたが,
まずはちゃんと意味を調べてみることに。

すると
どうやら,寿命が延びる魔法のパンではないようです。



Long lifeには「長寿」の意味のほかに
「(食材が)日持ちする」という意味もあります。

つまり,このパンは
「時間が経っても食べられます」ということですね。



長寿パンは幻に終わりました。




ちなみに,long lifeの語順を逆にした
lifelongという単語もあります。

こちらは「一生の」という意味ですが,
例えばこんな言葉があります。




lifelong calling




calling? 電話?

一生電話がかかってくるなんて怖い話ですが,
やはりこちらも違います。



callingには「呼ぶ」「電話をかける」以外に
キリスト教で「(神の)お召し」という意味があります。
神様に呼ばれるということです。


つまり、lifelong calling
lifelongの「一生の」と
callingの「(神に)呼ばれる」で
天職を意味します。



神様に「あなたはこれをしなさい」と言われたものが
その人にとっての天職ということなのでしょう。

編集者のロングライフパン

〈英語担当T〉


#英語 #食べ物の英語 #長寿パン #天職

Hope (  ) Eternal, Summer of Corruption, (  ) from Innocence, A Winter’s Tale

これらはスティーブンキングの小説作品の副題です。
主題とあわせると

Rita Hayworth and Shawshank Redemption-Hope Springs Eternal
Apt Pupil-Summer of Corruption
The BodyFall from Innocence
The Breathing Method-A Winter’s Tale

というタイトルで,
この4作品が1冊のペーパーバック本に収められており、
副題には四季を表すspring,summer,fall,winterが使われています。

1つめの作品は『ショーシャンクの空に』として,
3つめは『スタンド・バイ・ミー』として映画化さています。

私は『ショーシャンクの空に』が好きで,
学生時代にこの原作(英語版)を辞書を片手に読みました。

この原作の副題は
Hope Springs Eternal(希望は永遠に湧き出る)。

springには「春」という意味のほかに「湧き出る」という意味があります。

『ショーシャンクの空に』では,
過酷な状況でも「希望」を持ち続けようとする主人公が描かれていますが,
この副題は,希望がspring「湧き出る」のと「春」をかけているのですね。

3つめ『スタンド・バイ・ミー』の副題は
Fall from Innocence(純心から落ちる)。

fallには「秋」という意味のほかに「落ちる」という意味がありますね。

大人になるにつれ,いつしか童心を忘れてしまうことを,
fallを用いて表しているのでしょうか。

原作の小説は映画とはまた違った味わいがあります。
日本語訳版も出ていますので,
まだ読まれていない方はぜひ手に取ってみてください。
<英語担当S>

#英語 #小説

五月雨は何色か

東京も梅雨入りし,通勤には傘が欠かせなくなった。
置き忘れても後悔が小さく済むように,安価な傘を持ち歩く。
鉄道会社に寄贈した傘は二桁に達したと思う。

先日は古文の校正で『源氏物語』を扱い,その奥深さに目をつぶっては静かに唸った。
決して難しくて唸った訳ではない。
ふと,学生時代には名著『あさきゆめみし』(講談社)にお世話になったことを思い出す。

多くの教科書で掲載される『源氏物語』の序文「桐壺」にも,その内面描写に光るものがある。

「はじめより我はと思ひ上がり給へる御方方,めざましきものにおとしめそねみ給う。同じほど,それより下臈の更衣たちは,まして安からず。」
(現代語訳:初めから我こそは(寵愛を受けるべきだ)と自負しておられた女御の方々は,このお方(桐壺)を蔑んだり妬んだりなさる。同じ身分,またはそれより低い地位の更衣たちは,女御の方たち以上に(嫉妬の)気持ちがおさまらない。)

自分ではない誰かが時流に乗ることで,多かれ少なかれ心はざわつく。
それが自分(女御)よりも身分が低い者(更衣)であれば,面白くはないものの「自分の方が優れている」と慰められる。

注目すべきは,自分(更衣)と身分の近い者(更衣)が時流に乗った時だ。

「まして安からず」

もしかしたら自分にも(寵愛を受ける)チャンスがあったのかもしれないと思うばかりに,その落差から大きな反発が生まれる。友人と宝くじを一枚ずつ買って,友人だけが一等を当てた感覚だろうか。

そんな(更衣が天皇の寵愛を受けるという起こり得ない)浅い夢だからこそ怨念は尾を引き,梅雨に負けず劣らず,湿度の高い嫌がらせが桐壺更衣に降りかかる。

「結びつる 心も深き もとゆひに 濃きむらさきの 色しあせずに」(左大臣から桐壺帝への返歌)

——桐壺更衣は何色だろうか。

やはり桐の花よろしく紫色が似つかわしい。
だとすれば,桐壺更衣と対立した他の更衣たちは紫色と対立する補色,すなわち緑色だろうか。

ちょうど「五月雨は緑色」と歌った村下孝蔵は,そのアルバムを『初恋~浅き夢みし~』と名付けたのは偶然だろうか。

浅い夢だからこそ消えることのない想いは,今も昔も変わらないのかもしれない。

源氏物語の序文

〈国語担当M〉

面白き こともなき世をおもしろく (  )ものは心なりけり

司馬遼太郎『竜馬がゆく』での高杉晋作の最期の描写をご紹介します。
結核の病状がいよいよ重くなった高杉が、辞世の句をよもうと筆をとります。

「面白き、こともなき世を、おもしろく」
辞世の上の句をよんだ。下の句に苦吟していると、看病していた野村望東尼が、
住みなすものは心なりけり」
と詠んだ。高杉はうなずき、
・・・面白いのう。
と言って静かに眠った。それが高杉の最期であった。

(文春文庫『竜馬がゆく』表記ママ)

天才革命家として破天荒な活躍をした高杉ですが、
27歳という若さで病没しました。
野村望東尼とは、高杉らの討幕運動を支援した幕末の女流歌人です。

私は詩歌の心得などはまったくありませんが、
高杉らしい「やんちゃ」な上の句に対して、
望東尼が優しく、かつ風雅に下の句を呼応させるという描写が印象的でした。

国語担当にも聞いてみました。

(彩る)ものは心なりけり でしょうか。
心持ち次第で極彩色の毎日が送れ…たらいいな、と思っております、はい。
「色取る」とも書けますが、個人的には「彩る」のほうが
字面が可愛くて好きです。

ちなみに「彩」は中学学習漢字ですが、
「いろど-る」は中学では学習しない読み方です。
無理やり国語担当ぽい豆知識を入れ込んでみました。

――国語科担当Kさん

編集者としては、
「面白き」「おもしろく」、
「上の句をよんだ」「と詠んだ」などの
閉じ開き表記の不統一も気になるところです。

一読者としてはこれも味に思えます。

皆さんはどのような下の句を思いつかれたでしょうか? ご意見いただけますと幸いです。
〈英語担当S〉

桜と鶯

#国語 #俳句 #短歌 #小説

ベテルギウスの大きさは(  )の公転軌道と同じくらい

ベテルギウスは,冬の星座であるオリオン座の左上にある,赤っぽく見える星です。
この星は巨大で,その半径は何と太陽から木星までの距離に匹敵します。
つまり,ベテルギウスの大きさは,木星の公転軌道と同じくらいということです。
(公転軌道:惑星が太陽を中心に一周した際に描く円)

太陽から木星までの距離

太陽から木星までの距離は約7億5千万kmです。
これは光で約40分かかる距離です。新幹線(時速300km)だと約280年かかります。
道中を楽しみたいなどと在来線に乗ったなら1000年近くかかります。

木星

太陽から木星まで――在来線で1000年かかるこの距離で,ようやくベテルギウスの「半」径です。
ぶらり在来線ベテルギウス一周旅行に出かけようものなら,ざっと6000年かかります。
この一周旅行を終えるまでに,人は何回輪廻を繰り返せばよいのでしょうか。
日頃の行いによっては道中,畜生道に堕ちて獣や虫として生き死にを繰り返すかもしれません。

草をのぼるテントウムシ

もちろん,ベテルギウスは星なので球体です。
半径や外周の距離感ですら途方もないのですが,立体的な質量感となると…。
私には想像することすら難しいので,理数担当者にも聞いてみました。

ベテルギウスは脈動変光星といって,大きさが変化する星です。
また,最近の研究では従来の推定の3分の2程度のサイズであるとも言われています。
定まらないので,テスト問題には使えませんね。

――理数担当Nさん

テストにも収まりきらないスケールのようです。

このような天体を無数に内包するという宇宙の規模とは一体どのようなものなのでしょうか。
人知をはるかに超えた領域が目の前の夜空いっぱいに広がっていることに,
ただただ圧倒されるばかりです。

皆さんはいかが思われますでしょうか。ご意見いただけますと幸いです。
〈英語担当S〉

星空

#理科 #星 #畜生道

土偶は(  )をかたどったもの

土偶は何をかたどったものかご存知でしょうか?
一般的に女性像が多く,呪術に用いられたと言われていますが,
一方で,巷には様々な説が飛び交っています。
中には宇宙人だとする説まで。

そんな中,土偶は植物をかたどったものだとする本が出ました。
私もこの本を紹介する記事を目にしました。

土偶と言っても色々な種類があるのですが,

遮光器土偶のイラスト

これを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

遮光器土偶です。
興味がある方はぜひ写真を検索してみてください。
ミステリアスな風貌をしていますね。

植物説によると,この遮光器土偶はサトイモをかたどっていると言われているようです。

サトイモ

ジャガイモもそうですが,サトイモも土中でいくつも連なって実ります。
そう言われてみると,
遮光器土偶の頭,大きな両目,太く短い腕・脚,根のような手・足…
サトイモに見えなくもない気がします。

他のものはどうでしょう?

中空土偶

中空土偶

栗

ハート型土偶のイラスト

ハート形土偶

割られたクルミ

クルミ

画像を検索していただけるとよいのですが,
顔の形が栗やクルミに見えます。
非常に興味深いですね。

土偶の由来についてはもちろん諸説ありますが,
この植物説から見ると,
ミステリアスでどこか怖い印象もあった土偶が
かわいらしく思えてきました。

長野県には特徴的な土偶が展示されています。

仮面の女神のイラスト

仮面の女神

これは逆三角形の仮面をつけているような不思議な顔をした土偶です。

仮面の女神については本の紹介記事には書かれていなかったので私の思い付きにすぎないのですが,三角形からソバの実を連想しました。長野県の蕎麦は有名ですね。

ソバの実

ソバの実

まだまだわからないことも多い土偶ですが,
当時の人は,植物をかたどって作ったこれら土偶に,
また実りをもたらしてくれるよう願いを込めたのかもしれません。

社会科担当にも聞いてみました。

テレビや雑誌などで縄文時代についての特集をみることが増えています。はるか昔の未知なる生活に興味がわいているのかと思います。
そのようななかで,土偶は植物をかたどったものだったという本を読みこれはすごい!と個人的に思いました。正解はまだ現時点ではわかりません。。。

歴史は常に更新されています。
子どもも大人も楽しめるのが歴史だと思います。
みなさんもたまには教科書や歴史の本を読んでみてください。学生時代に習った内容とかわっているかもしれません??

――社会科担当Sさん

皆さんはどう思われますか?ご意見いただけますと幸いです。
〈英語担当S〉

#土偶 #社会

夏と言えば怪談 ―雪女(後編)―

前回の続きです。

外で倒れていた女を助けた男は
その女と結婚し,一緒に幸せな冬を過ごします。

しかし,季節が移り変わり始めると,
妻の様子に異変が現れます。
(原文は少し長いので,短く書き直しています。
 和訳:カルチャー・プロ英語担当T)


***
As spring comes and the weather got warmer,
the young wife became weaker and thinner.
春が近づき暖かくなると
若い妻は次第に弱ってやせ細っていきました。

The young man thought that she was lonely
so he decided to throw a spring party for her.
夫は妻が寂しい思いをしていると思い
妻のために宴を開くことにしました。

For the party, he invited many of his friends.
夫は宴に彼の友人を大勢招待しました。
***

そして,宴の途中で
男は自分の妻の姿が見えないことに気がつきます。
名前を呼んでも返事がありません。

ある部屋で,男は妻が着ていた着物を見つけます。
(ここのみ原文通りに書いています)





***
There was only her kimono,
lying in a pool of water in front of the stove.
***





ちょっと待って。
ストーブ?
もう一度確認しましょう。



***
There was only her kimono,
lying in a pool of water in front of the stove.
妻の着物はありました,火鉢の前の水たまりの中に。
***




なんと,雪女,暖をとって溶けてしまいました。


最初から最後まで覇気のない雪女ですね。
それにしても,彼女の目的は一体…
(もはや怪談ではなくミステリー?)




今回ご紹介した,怖さ要素ゼロのThe Snow Wifeは
海外の本屋さんで見つけた
世界の童話を集めた本に書かれていました。

この本には,日本の昔話として
「一寸法師」と「浦島太郎」も入っています。
こちらも想像とは違った展開が面白いので
いつか機会があったらご紹介したいと思います。



雪女では残念ながら涼はとれませんでしたが,
この童話集はちょっと不思議な本として
これからも大切にしていこうと思います。
〈英語担当T〉


Retold by Neil Philip. Illustrated by Nilesh Mistry. The Illustrated Book of Fairy Tales. Great Britain, Dorling Kindersley, 1997.

#英語 #児童書の英語 #昔話 #英語を楽しむ #英語で読む怪談 #怪談で涼しくなる #怖くない怪談 #実はミステリー